使用場面に応じたニュアンスの解説
「给」を使った8つの構文は、それぞれの使い方に応じて適切な使用場面があり、ニュアンスが異なります。
これを理解することで、より自然で効果的な表現が可能になります。
以下では、各構文における使用場面とニュアンスを詳しく解説します。
1. 目的語として「~に」を表す
使用場面
日常会話や簡単なやり取りで使われる非常に一般的な表現。
動作の受け手(「誰に」)を明示したい場合に適切です。
ニュアンス
この構文は動作の「目的語(受け手)」を補足的に示すだけであり、動作自体の内容(動詞の意味)に焦点が当たっています。
我给你一本书。
---私はあなたに本を一冊あげます。
※ここでは「本をあげる」という動作が重要で、「誰に」は補足的です。
2. 与える・提供する
使用場面
行為自体が重要な場合に使われます。特に、具体的な物品や情報、サービスを提供するときに適切です。
ニュアンス
この構文では「与える」「提供する」という動作の完了や、受け手が実際に受け取った事実が強調されます。
他给了我们很多帮助。
---彼は私たちにたくさんの助けを与えてくれました。
※助けを「与えた」という行為が強調されています。
対比ポイント
「目的語として『~に』」構文との違いは、動作自体の完了や提供の意図がはっきりと示される点です。
3. 使役表現「~させる」
使用場面
他者に何かをさせる、または誰かに代わって行動をしてもらう場面で使われます。
例えば、依頼や指示、職場での役割分担などに適しています。
ニュアンス
「使う」「させる」という意味が含まれ、行為を実行する主体が話者ではないことを示します。
妈妈给孩子写作业。
---お母さんが子供のために宿題を書いてあげました。
※「子供に宿題を書かせる」のではなく、「お母さんが代わりに行った」ことが伝わります。
文化的背景
中国では家族間や友人間で、こうした「代行の依頼」をすることがよくあります。
4. 「~のために」
使用場面
誰かのために特定の行為を行うときに使われます。
親しい関係や依頼された場合に適切で、日常生活でよく使われます。
ニュアンス
「~のために」という目的や恩恵を強調します。受益者(恩恵を受ける人)が行為の中心に位置します。
他给我修好了电脑。
---彼は私のためにパソコンを修理してくれました。
※「修理」という行為が、話者(私)の利益を目的として行われています。
5. 受け身表現(被構文)
使用場面
フォーマルな場面や、動作の被害や影響を客観的に伝えたい場合に使われます。
特に書き言葉で多用されます。
ニュアンス
「被構文」は受動的な状況を示し、動作の影響を受けた側に焦点を当てます。しばしばネガティブなニュアンスがあります。
麻雀被小猫吃了。
---麻雀は小猫に食べられました。
※「被」は、麻雀が被害を受けたという事実を強調しています。
注意点
被構文はポジティブな状況ではあまり使われません(例: 「褒められる」などの場合でも他の表現を選ぶことが多い)。
6. 受け身表現(给構文)
使用場面
カジュアルな日常会話で多用される受け身表現です。
書き言葉よりも話し言葉で適しています。
ニュアンス
被構文ほどの硬さはなく、ニュートラルまたは柔らかい表現が求められる場面に向いています。
麻雀给小猫吃了。
---麻雀は小猫に食べられました。
※「给」は、動作を受けた事実を自然に伝えています。
7. 強調表現「~してしまう」
使用場面
行為の結果や影響を強調したい場面で使われます。特に、問題解決や結果が重要な場合に適切です。
ニュアンス
行為が徹底され、その結果が重要であることを示します。
他把书给撕破了。
---彼は本を破ってしまいました。
※「給」によって「破った」という動作が強調されています。
補足
この構文は話者の感情を伴うことが多く、特に驚きや不満を表すことに適しています。
8. バ構文(把構文)
使用場面
目的語を強調したい場合に使われます。動作の結果や、行為がどのように影響したかを強調したいときに適切です。
ニュアンス
「把構文」は、動作の対象がどのように扱われたかを特に強調します。
小猫把麻雀给吃了。
---小猫は麻雀を食べました。
※「把」によって麻雀(動作の対象)が中心となっています。
注意点
バ構文は語順が固定されており、目的語が具体的であることが求められます。
まとめ
1.フォーマル vs カジュアル
「被構文」はフォーマル、「给構文」はカジュアル。
2.動作の焦点
「目的語として『~に』」や「与える」は行為自体に焦点があり、「バ構文」や「強調表現」は動作の対象や結果を強調します。
3.日常 vs 特別
日常的な会話では「给構文」や「強調表現」が自然で、フォーマルな文章では「被構文」や「~のために」が多用されます。
具体的な文脈や使用場面に合わせて選ぶことが、自然な表現の鍵となります!
構文の違いを視覚的に解説
1. 目的語として「~に」を表す
構文
主語 + 给 + 目的語(人)+ 動詞 + 他の目的語
例文
我 给 他 一本 书。
---私は彼に本を一冊あげます。
語順図
主語(動作を行う人) → 给 → 目的語(人) → 動詞 → 他の目的語
我 给 他 一本 书
ニュアンス
この構文は、動作の受け手を示します。行為そのもの(例: あげる、渡す)が中心で、「誰に」行われたかが補足的に示されています。
2. 与える・提供する
構文
主語 + 给 + 目的語(人)+ 他の目的語
例文
他 给了 我们 很多 帮助。
---彼は私たちにたくさんの助けを与えてくれました。
語順図
主語(行動者) → 给 → 目的語(人) → 他の目的語
他 给 我们 很多帮助
ニュアンス
「与える」という行為が強調され、動作が完了したことを示します。
3. 使役表現「~させる」
構文
主語 + 给 + 目的語(人)+ 動詞 + 他の目的語
例文
妈妈 给 孩子 写了 作业。
---お母さんが子供に宿題を書かせました。
語順図
主語(行動者) → 给 → 目的語(受益者) → 動詞 → 他の目的語
妈妈 给 孩子 写了 作业
ニュアンス
行動を依頼したり、指示したことを示します。「~の代わりに行った」というニュアンスが含まれる場合もあります。
4. 「~のために」
構文
主語 + 给 + 目的語(人)+ 動詞 + 他の目的語
例文
他 给 我 修好了 电脑。
---彼は私のためにパソコンを修理してくれました。
語順図
主語(行動者) → 给 → 恩恵を受ける人 → 動詞 → 他の目的語
他 给 我 修好了 电脑
ニュアンス
「誰のために」が中心で、動作の目的や恩恵を強調します。
5. 受け身表現(被構文)
構文
主語 + 被 + 行為者 + 動詞 + 他の目的語
例文
钱包 被 小偷 偷了。
---財布は泥棒に盗まれました。
語順図
主語(影響を受けたもの) → 被 → 行為者 → 動詞 → 他の目的語
钱包 被 小偷 偷了
ニュアンス
被構文はフォーマルな受け身表現で、被害や影響を受けた事実を強調します。
6. 受け身表現(给構文)
構文
主語 + 给 + 行為者 + 動詞 + 他の目的語
例文
钱包 给 小偷 偷了。
---財布が泥棒に盗まれました。
語順図
主語(影響を受けたもの) → 给 → 行為者 → 動詞 → 他の目的語
钱包 给 小偷 偷了
ニュアンス
被構文よりカジュアルで、日常会話に向いています。
7. 強調表現「~してしまう」
構文
主語 + 把 + 目的語 + 给 + 動詞
例文
他 把 书 给 撕破了。
---彼は本を破ってしまいました。
語順図
主語(行動者) → 把 → 動作の対象 → 给 → 動詞
他 把 书 给 撕破了
ニュアンス
動作の結果や徹底を強調します。
8. バ構文(把構文)
構文
主語 + 把 + 目的語 + 动词 + 他の目的語
例文
我 把 书 给了 他。
---私は本を彼に渡しました。
語順図
主語(行動者) → 把 → 動作の対象 → 动词 → 他の目的語
我 把 书 给了 他
ニュアンス
動作の対象(目的語)が強調され、その結果が重要視されます。
練習問題
1. 空欄補充
次の文の空欄に適切な語句を入れて、意味が通る文を完成させてください。
- 妈妈 ___ 孩子买了一个玩具。
- 我 ___ 老师写了一封信。
- 他把钱包 ___ 小偷偷了。
- 你 ___ 他帮了什么忙?
- 我的书被 ___ 借走了。
2. 日本語から中国語に翻訳
次の日本語を中国語に翻訳してください。
- 私は弟のためにご飯を作りました。
- 彼女は私にこの本を渡してくれました。
- 友達は私たちのために写真を撮りました。
- 財布が泥棒に盗まれました。
- 彼は宿題を子供にやらせました。
模範解答
1. 空欄補充
- 妈妈 给 孩子买了一个玩具。
---お母さんは子供におもちゃを買いました。 - 我 给 老师写了一封信。
---私は先生に手紙を書きました。 - 他把钱包 给 小偷偷了。
---彼は財布を泥棒に盗まれました。 - 你 给 他帮了什么忙?
---あなたは彼にどんな助けをしましたか? - 我的书被 人 借走了。
---私の本は誰かに借りられました。
2. 日本語から中国語に翻訳
- 我给弟弟做了饭。
---私は弟のためにご飯を作りました。 - 她给了我这本书。
---彼女は私にこの本を渡してくれました。 - 朋友给我们拍了照片。
---友達は私たちのために写真を撮りました。 - 钱包被小偷偷了。
---財布が泥棒に盗まれました。 - 他给孩子布置了作业。
---彼は子供に宿題をやらせました。
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