中国語の「比較文」について
中国語の比較文では、特定の形式を使用して2つ以上の対象を比較します。最も一般的な形式は「A 比 B + 形容詞」ですが、他にも「A 没有 B + 形容詞」や「A 跟/和 B 一样 + 形容詞」などがあります。
比較表現「A 比 B + 形容詞」
「比」を使って、AがBよりも特定の形容詞の程度が高いことを表します。この形式は最もよく使われる比較文の一つです。
構造
A 比 B + 形容詞(+ 程度副詞)
詳細解説
- 形容詞だけの場合:
形容詞が単独で使われ、AがBよりどれくらい優れているかを具体的に述べません。
例)
我比他高。
---私は彼より背が高いです。 - 程度を強調する場合:
「多」「一点」「更」などの程度を表す副詞を追加すると、比較の差が具体的になります。
例)
他比我高很多。
---彼は私よりずっと背が高いです。 - 「更」や「还」を使った強調:
「更」は「さらに」「もっと」の意味で、比較をさらに強調します。
例)
他比我更聪明。
---彼は私よりさらに賢いです。
我比他高。
---私は彼より背が高いです。
※「比」は比較を示し、「高」は高さを表します。
今天比昨天冷。
---今日は昨日より寒いです。
※「今天」「昨天」で時を比較し、「冷」で寒さの程度を表しています。
这个苹果比那个苹果大。
---このリンゴはあのリンゴより大きいです。
※「大」が大きさの比較対象として使われています。
他比我聪明。
---彼は私より賢いです。
※「聪明」は「賢い」という意味の形容詞です。
上海比北京热。
---上海は北京より暑いです。
※「热」が気温の比較を示しています。
否定の比較「A 没有 B + 形容詞」
「没有」を使って、AがBほど形容詞の程度が高くないことを表します。比較対象を否定する表現です。
構造
A 没有 B + 形容詞
詳細解説
- 形容詞だけの場合:
「没有」の後に形容詞を置き、AがBに比べて不足していることを表します。
例)
他没有我高。
---彼は私ほど背が高くありません。 - 程度の不足を強調する場合:
程度副詞を加えて、より具体的な比較が可能です。
例)
今天没有昨天那么冷。
---今日は昨日ほど寒くありません。
※「那么」は「それほど」という意味です。 - 「一样」との組み合わせ:
否定文でも「一样」を使って、AとBが同じではないことを表します。
例)
这个苹果没有那个苹果一样大。
---このリンゴはあのリンゴほど大きくありません。
我没有他高。
---私は彼ほど背が高くありません。
※「没有」が否定を示し、「高」が背の高さを表します。
今天没有昨天冷。
---今日は昨日ほど寒くありません。
※「没有」が比較を否定する役割を果たします。
这个苹果没有那个苹果大。
---このリンゴはあのリンゴほど大きくありません。
※「没有」によって、程度の不足を表現しています。
她没有我漂亮。
---彼女は私ほど美しくありません。
※「漂亮」は「美しい」を意味します。
上海没有北京热。
---上海は北京ほど暑くありません。
※「没有」が暑さの程度の不足を表しています。
同等比較「A 跟/和 B 一样 + 形容詞」
「一样」を使った比較文は、AとBが同じ程度であることを表します。
構造
A 跟/和 B 一样 + 形容詞(+ 程度副詞)
詳細解説
- 形容詞だけの場合:
形容詞単独で、AとBが全く同じ程度であることを表します。
例)
我跟他一样高。
---私は彼と同じくらい背が高いです。 - 程度副詞の追加:
「那么」「很」などの副詞を加えることで、より具体的に比較できます。
例)
今天和昨天一样那么冷。
---今日は昨日と同じくらい寒いです。 - 動詞の使用:
「一样」は形容詞だけでなく、動詞にも使えます。
例)
我们跑得一样快。
---私たちは同じ速さで走ります。
我跟他一样高。
---私は彼と同じくらい背が高いです。
※「一样」が同等性を示します。
今天和昨天一样冷。
---今日は昨日と同じくらい寒いです。
※「一样冷」が寒さの同程度を表現しています。
这个苹果跟那个苹果一样大。
---このリンゴはあのリンゴと同じくらい大きいです。
※「一样」が「大」の同程度を表します。
她跟我一样漂亮。
---彼女は私と同じくらい美しいです。
※「一样漂亮」で外見の同程度を示しています。
上海和北京一样热。
---上海は北京と同じくらい暑いです。
※「一样热」で気温の同程度を示しています。
「比」「没有」「一样」を使い分けることで、中国語の比較文でさまざまなニュアンスを表現できます。
「比起 B,A 更 + 形容詞」
特徴:
「比起 B」を使って、Bと比較した結果、Aがさらに形容詞の程度が高いことを強調します。主観的な意見や好みを表現する際に用いられることが多いです。
構造
比起 B,A 更 + 形容詞
詳細解説
- 「比起」
「比起」は「~と比べて」という意味で、比較の対象を示します。 - 「更」
「更」は「さらに」「もっと」という意味で、AがBよりも高い程度を強調します。
例文
比起夏天,我更喜欢冬天。
---夏よりも冬が好きです。
※「比起夏天」で夏を基準にし、「更喜欢」で冬への好みが強調されています。
比起咖啡,他更喜欢茶。
---コーヒーよりも彼はお茶が好きです。
※具体的な飲み物の好みを述べています。
比起以前,这个地方更安静了。
---以前よりもこの場所はさらに静かになりました。
※時間を基準にした比較です。
比起北京,上海更热闹。
---北京よりも上海のほうがにぎやかです。
※都市同士の比較に用いています。
比起跑步,他更喜欢游泳。
---ジョギングよりも彼は水泳が好きです。
※運動の好みを比較しています。
「A 不如 B + 形容詞」
特徴:
「不如」は「~ほどではない」という意味で、AがBよりも形容詞の程度が劣ることを表します。「没有」と似ていますが、ややフォーマルな響きがあります。
構造
A 不如 B + 形容詞
詳細解説
- 「不如」
比較対象としてBが優れていることを強調します。会話や書き言葉でよく使われます。
例文
他不如我高。
---彼は私ほど背が高くありません。
※「不如」で劣勢を表現しています。
这个地方不如那个地方安静。
---この場所はあの場所ほど静かではありません。
※2つの場所を比較しています。
跑步不如游泳有趣。
---ジョギングは水泳ほど面白くありません。
※活動の楽しさを比較しています。
这个苹果不如那个苹果甜。
---このリンゴはあのリンゴほど甘くありません。
※「甜」で味の違いを表現しています。
今天的天气不如昨天好。
---今日の天気は昨日ほど良くありません。
※天気の状態を比較しています。
「A 比较 + 形容詞」
特徴:
「比较」は「比較的」という意味で、Aの特徴を全体的に形容する表現です。特定の比較対象を明示しない場合に使われます。
構造
A 比较 + 形容詞
詳細解説
- 「比较」
程度をやや控えめに表現する際に便利です。会話で頻繁に使われます。
例文
这个地方比较安静。
---この場所は比較的静かです。
※具体的な比較対象は示されていません。
这个问题比较复杂。
---この問題は比較的複雑です。
※「复杂」で問題の性質を表しています。
他比较忙。
---彼は比較的忙しいです。
※忙しさの程度を控えめに表現しています。
今天的天气比较热。
---今日の天気は比較的暑いです。
※「比较」で暑さを控えめに述べています。
这个价格比较合理。
---この価格は比較的妥当です。
※「合理」で価格の妥当性を表現しています。
「比起」「不如」「比较」を使うことで、単なる比較に留まらず、微妙なニュアンスや感情を伝えることができます。それぞれの形式を状況に応じて使い分けることで、表現の幅を広げることができます。
程度副詞の使用
中国語では、比較文に程度副詞を加えることで、比較の度合いやニュアンスを微調整することができます。以下は、よく使われる程度副詞の例です。
構造
A 比 B + 程度副詞 + 形容詞
主要な程度副詞
- 非常 (fēicháng): 非常に、とても
- 稍微 (shāowēi): 少し、やや
- 有点 (yǒudiǎn): ちょっと(ややネガティブなニュアンス)
例文
今天比昨天非常热。
---今日は昨日より非常に暑いです。
※「非常」が「とても暑い」という強い程度を示します。
这个问题比那个问题稍微复杂。
---この問題はあの問題より少し複雑です。
※「稍微」は「少し」という控えめな程度を表します。
这个苹果比那个苹果有点酸。
---このリンゴはあのリンゴより少し酸っぱいです。
※「有点」はネガティブなニュアンスを含むことが多いです。
注意点
- 副詞「非常」「稍微」「有点」は文中で程度の微妙な差を表現する際に便利ですが、文脈に合った形容詞を選ぶ必要があります。
特定の状況での比較表現
感情の比較:
他比我更高兴。
---彼は私よりさらに嬉しいです。
她比我更生气。
---彼女は私よりさらに怒っています。
你比他冷静一点。
---あなたは彼より少し冷静です。
小明比小红开心得多。
---小明は小紅よりずっと嬉しいです。
我比以前更紧张。
---私は以前よりさらに緊張しています。
時間の比較:
今天比昨天晚了十分钟出门。
---今日は昨日より10分遅く家を出ました。
火车比飞机慢得多。
---電車は飛行機よりずっと遅いです。
他比我早一个小时到公司。
---彼は私より1時間早く会社に到着しました。
会议比预定时间提前了半小时开始。
---会議は予定時間より30分早く始まりました。
这次旅行比上次时间更长。
---今回の旅行は前回より時間が長いです。
場所の比較:
上海比北京更热闹。
---上海は北京よりさらににぎやかです。
这个房间比那个房间更宽敞。
---この部屋はあの部屋よりさらに広いです。
日本的秋天比夏天凉快多了。
---日本の秋は夏よりずっと涼しいです。
公园比商场安静。
---公園はショッピングモールより静かです。
这座城市比我的家乡繁华。
---この都市は私の故郷より栄えています。
否定形や疑問文のバリエーション
否定形:
他不比我高。
---彼は私より背が高くありません。
今天不比昨天热。
---今日は昨日より暑くありません。
这个苹果不比那个苹果甜。
---このリンゴはあのリンゴより甘くありません。
这件衣服不比那件便宜。
---この服はあの服より安くありません。
现在的情况不比以前好。
---今の状況は以前より良くありません。
疑問文:
他比你高吗?
---彼はあなたより背が高いですか?
这个地方比那个地方安静吗?
---この場所はあの場所より静かですか?
今天的价格比昨天低吗?
---今日の価格は昨日より低いですか?
这道菜比那道菜好吃吗?
---この料理はあの料理より美味しいですか?
这个地方比以前更方便吗?
---この場所は以前より便利ですか?
否定疑問文:
否定疑問文は、話し手が何かを確認したい、あるいは驚きや疑問を表現したいときに使用します。「不」や「没有」を使って否定の形を作り、それを疑問文にします。
他不比你高吗?
---彼はあなたより背が高くないのですか?
※話し手が「彼が背が高いと思っている」場合の確認。
今天不比昨天冷吗?
---今日は昨日より寒くないのですか?
※寒さの比較について話し手が確認しています。
这本书不比那本书贵吗?
---この本はあの本より高くないのですか?
※「高い」と予想している場合に使われます。
他不比我忙吗?
---彼は私より忙しくないのですか?
※忙しさを確認する際に使用します。
这道菜不比昨天的更好吃吗?
---この料理は昨日の料理よりさらに美味しくないのですか?
※料理の味について確認しています。
比と更の違いについて
「比」と「更」はどちらも中国語で比較を表す際に使われますが、それぞれ役割が異なり、使い方やニュアンスに違いがあります。以下で、その違いを詳しく解説します。
「比」の特徴と使い方
「比」は、2つの対象を比較して、差を明確に示すために使われます。「A 比 B」という構造で使われ、AがBに比べてどのように異なるかを説明します。
使い方のポイント
比較対象が明確
「比」の後に必ず比較対象(B)を置きます。比較する対象がないと文の意味が成り立ちません。
例)
今天比昨天热。
---今日は昨日より暑いです。
程度副詞を付加
比較の差を強調したい場合、「更」「多」「一点」などの副詞を付け加えます。
例)
他比我高多了。
---彼は私よりずっと背が高いです。
動詞との組み合わせ
形容詞だけでなく、動詞とも組み合わせて使えます。
例)
他比我跑得快。
---彼は私より速く走ります。
否定形
「比」を使った比較文は、否定形にすることも可能です。
例)
他不比我高。
---彼は私より背が高くありません。
「更」の特徴と使い方
「更」は、「さらに」「もっと」という意味で、比較を強調する際に使われます。「更」を使う場合、比較対象が文中で明示されないこともあります。
使い方のポイント
比較対象が明示されない場合も使える
「更」は対象を具体的に示さなくても、比較のニュアンスを伝えることができます。
例)
今天更热。
---今日はさらに暑いです。
程度を強調
「更」は、既に高い程度にあるものをさらに上回ることを強調します。
例)
他比我聪明,更努力。
---彼は私より賢く、さらに努力しています。
「比」との組み合わせ
「更」を「比」と組み合わせて使い、差を強調することが可能です。
例)
今天比昨天更冷。
---今日は昨日よりさらに寒いです。
否定形では使わない
「更」は通常、否定文では使われません。否定形を作る場合は「比」を使います。
「比」と「更」の違いを比較
比 | 更 |
---|---|
比較対象が必須 | 比較対象が省略可能 |
主に2つの対象を直接比較する | 強調や段階的な差を示す |
形容詞だけでなく動詞とも組み合わせ可能 | 主に形容詞や副詞と組み合わせて使う |
否定形を作れる | 否定形では使わない |
例文で比較
「比」を使った比較文
这个地方比那个地方安静。
---この場所はあの場所より静かです。
「更」を使った比較文
这个地方更安静。
---この場所はさらに静かです。
両方を組み合わせた比較文
这个地方比那个地方更安静。
---この場所はあの場所よりさらに静かです。
混同しやすいポイント
比較対象の有無
「比」は比較対象が必要ですが、「更」は文脈上で比較が明確な場合、対象を省略できます。
使う場面の違い
「比」は事実を述べる場合に多く使われ、「更」は主観的な強調や段階的な違いを伝える場合に適しています。
簡単な覚え方
「比」は「○○より~だ」という直接比較に必須。
「更」は「さらに~だ」と強調や段階的な違いを伝える際に使う。
この違いを意識することで、「比」と「更」を正確に使い分けられるようになります。
慣用的な比較表現の例文
1. 速さの比較
他比兔子跑得还快。
---彼はウサギよりも速く走ります。
※速さを強調する比喩的表現。
2. 話の多さの比較
他比天上的星星还多话。
---彼は天の星よりもおしゃべりです。
※「多话(話が多い)」を星の数にたとえて話し好きな様子を強調。
3. 力強さの比較
他比牛还强壮。
---彼は牛よりも力強いです。
※力強さを「牛」に例え、非常に強いことを表現。
4. 静かさの比較
这个地方比深夜还安静。
---この場所は深夜よりも静かです。
※深夜の静けさを基準にして、静かさを強調。
5. 時間の長さの比較
这一天比一年还长。
---この1日は1年よりも長く感じます。
※心理的な感覚を「1年」と比較して、非常に長く感じることを表現。
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