「只」「只有」「只是」の解説
中国語では「只」「只有」「只是」はそれぞれ異なるニュアンスを持つ副詞で、文中の意味や用法が少しずつ異なります。以下に各用法を解説します。
「只」
「只(zhǐ)」は「ただ~だけ」という意味で、数量が少ないことや制限された条件を示します。
また、「単純に~する」というニュアンスを持つこともあります。
解説:
強調する意味ではなく、制限や範囲の狭さを表します。
主に「ただ」「~だけ」のニュアンス。
我只想睡觉。
---私はただ眠りたいだけです。
这本书只卖五块钱。
---この本はたった5元で売られています。
我只吃了一个苹果。
---私はリンゴを一つしか食べていません。
这件事情我只听说过。
---この件について私はただ聞いたことがあるだけです。
他只会说中文。
---彼は中国語しか話せません。
「只有」
「只有(zhǐyǒu)」は「~しかない」という意味で、条件を表します。
特定の状況や方法しか成り立たないことを強調します。
解説:
条件を強調して「~しなければならない」や「~だけが可能」という意味で使われます。
後ろに「才能」や「可以」が続くことが多い。
只有努力才能成功。
---努力して初めて成功できます。
只有他知道这件事情。
---この件を知っているのは彼だけです。
只有早起才能赶上火车。
---早起きしなければ電車に間に合いません。
只有学会坚持,才能取得好成绩。
---辛抱を覚えて初めて良い成績を取れます。
只有他能完成这个任务。
---この任務を達成できるのは彼だけです。
「只是」
「只是(zhǐshì)」は「ただ~だけ」という意味で、限定や弁解、または状況の補足説明を表します。
解説:
「只」と似ていますが、状況を軽く言い訳するようなニュアンスや補足説明に使われます。
「それだけ」「単に~だが」といったニュアンスで使われることが多い。
我不是生气,只是有点累。
---私は怒っているのではなく、ただ少し疲れているだけです。
这只是一个误会。
---これはただの誤解です。
我只是想帮你。
---私はただあなたを助けたいだけです。
他只是开个玩笑。
---彼はただ冗談を言っただけです。
这只是个开始。
---これはただの始まりに過ぎません。
「只」「只有」「只是」の比較
我只想吃面包,只有这个面包是新鲜的,只是有点贵。
---私はパンだけを食べたいです。このパンだけが新鮮です。ただ少し高いです。
※「只想」:制限的に「ただパンを食べたいだけ」と欲望の対象を限定しています。
「只有这个面包」:「このパンだけが新鮮」という唯一性を強調しています。
「只是有点贵」:補足的に「少し高い」という軽い弁解や言い訳を表しています。
你只需要努力学习,只有这样才能成功,只是成功需要时间。。
---君は努力して勉強するだけでいい。それだけで成功できる。ただ成功には時間が必要です。
※「只需要」:「ただ勉強するだけで十分」と、必要な行動を限定しています。
「只有这样」:「このようにすることでしか成功できない」と条件を強調しています。
「只是需要时间」:「ただ時間が必要だ」と付け加える形で補足説明しています。
我只喜欢旅行,只有在旅行时我才觉得开心,只是这种机会很少。。
---私は旅行だけが好きです。旅行中だけ幸せを感じます。ただその機会がとても少ないです。
※「只喜欢」:「旅行以外は好きではない」と、好みを限定しています。
「只有在旅行时」:「旅行中だけ」という特定の条件下でのみ幸せを感じることを強調しています。
「只是这种机会很少」:「ただその機会が少ない」と補足説明を行っています。
他只会说中文,只有这样他才觉得自在,只是这对工作不太方便。。
---彼は中国語しか話せません。それだけが彼にとって心地よい方法です。ただ仕事には少し不便です。
※「只会说中文」:「他は中国語以外は話せない」と限定を示しています。
「只有这样」:「これだけが彼が安心する方法」という条件を強調しています。
「只是这对工作不太方便」:「ただそれが仕事に不便である」と補足説明しています。
まとめ
「只」:「単に~だけ」として範囲の制限を表現します。
「只有」:「~でなければならない」という唯一性や条件を強調します。
「只是」:「ただ~に過ぎない」として、補足的に説明や弁解をします。
このように「只」「只有」「只是」を同時に使うことで、微妙なニュアンスの違いを文脈の中で明確に理解することができます。
比較表
単語 | 意味 | ニュアンス | 例文のニュアンス |
---|---|---|---|
只 | ただ~だけ | 軽い制限、範囲の限定 | 他には何もしないで「水だけを飲む」 |
只有 | ~しかない | 条件や制約を強調 | 「健康になるための条件は水を飲むことしかない」 |
只是 | ただ~に過ぎない | 軽い弁解や状況の補足 | 「たくさんではなく少し飲んだだけ」 |
「只」「只有」「只是」の類義語との比較
「只」「只有」「只是」には、それぞれ類義語が存在し、意味や使い方が似ていますが、微妙なニュアンスや使用場面が異なります。
以下では、これらの類義語を比較しながら解説します。
1. 「只」と「仅」
「只(zhǐ)」:「ただ~だけ」という意味で、口語でよく使われます。カジュアルなニュアンスがあります。
「仅(jǐn)」:「~だけ」「わずか~」を意味し、書き言葉やフォーマルな場面で使われます。
例文比較:
我只看了一部电影。
---私は映画を1本だけ見ました。
我仅看了一部电影。
---私は映画を1本しか見ていません(よりフォーマル)。
解説:
「只」は日常会話で使われ、カジュアルな表現。「仅」は文章や正式な場面で使われるフォーマルな表現です。
2. 「只有」と「唯有」
「只有(zhǐyǒu)」:「~しかない」「~しなければならない」という条件を表します。日常会話や文章で使われます。
「唯有(wéiyǒu)」:「ただ~のみ」という意味で、「只有」よりも強調され、フォーマルな表現です。
例文比較:
只有努力,才能成功。
---努力して初めて成功できます。
唯有努力,才能成功。
---ただ努力することでのみ成功できます。
解説:
「只有」は日常的な表現として使いやすい一方、「唯有」は文学的または強調のニュアンスが強いフォーマルな表現です。
3. 「只是」と「不过」
「只是(zhǐshì)」:「ただ~に過ぎない」「単に~」と補足的な説明や軽い弁解に使います。
「不过(bùguò)」:「ただし」「でも」という意味で、対比や転換を表します。
例文比較:
这件事只是个误会。
---これはただの誤解です。
这件事不过是个误会。
---これはただの誤解に過ぎません。
解説:
「只是」は補足的に説明を加えるニュアンス。「不过」はそれに加え、軽い対比や別の意見を述べる際に使われます。
4. 「只」「只有」「只是」と「但」
「但(dàn)」:「しかし」「ただし」という逆接の接続詞で使われることが多いですが、副詞としても使えます。
例文比較:
我只想帮助你。
---私はただあなたを助けたいだけです。
我但想帮助你。
---私はただあなたを助けたいと思っています(やや文学的)。
解説:
「但」は「只」よりも古風で文学的な印象を与えます。現代では会話よりも文章で使われることが多いです。
類義語まとめ表
単語 | 意味 | 使用場面 | ニュアンス |
---|---|---|---|
只 | ただ~だけ | 日常会話 | カジュアルな表現 |
仅 | ~のみ | 文章、フォーマル | フォーマルで厳格 |
只有 | ~しかない | 日常会話、文章 | 条件の強調 |
唯有 | ただ~のみ | フォーマル、文学的 | より強調した表現 |
只是 | ただ~に過ぎない | 日常会話、補足説明 | 軽い弁解や補足 |
不过 | ただ~に過ぎない | 日常会話、対比 | 軽い対比や別意見を示す |
但 | ただ~、しかし | 古風、文学的 | 文語的、やや文学的 |
「誤用例と注意点」
誤用例1: 「只」と「只是」の混同
誤文:
我只是喜欢这本书。
---(不自然)私はこの本だけが好きです。
正文:
我只喜欢这本书。
---私はこの本だけが好きです。
解説:
「只是」は弁解や補足に使うため、この文脈では「只」が適切です。
誤用例2: 「只有」と「只」の混同
誤文:
只有你在,事情会顺利。
---(不自然)あなたがいるだけで、物事は順調にいく。
正文:
只要你在,事情会顺利。
---あなたさえいれば、物事は順調にいきます。
解説:
条件を強調する場合は「只有」、軽い限定なら「只」が適切です。
注意点:
1.「只」と「只是」の意味の違いに注意
※「只」はシンプルな限定、「只是」は補足や弁解として使われる。
2.「只有」は条件を伴う
※ 条件が明確でない場合、「只有」を使うと不自然になる。
これらのポイントを押さえることで、「只」「只有」「只是」を自然に使いこなせるようになります。
練習門題
1. 我 ___ 吃了一点点,不是很多。
2. ___ 努力,才能取得好成绩。
3. 这件事 ___ 一个小误会,不用担心。
4. 他 ___ 会说英语,不会说法语。
5. ___ 认真学习,你才有机会考上大学。
6. 我 ___ 想帮你,并没有别的意思。
7. ___ 准时到达,你才不会错过会议。
8. 这次旅行很开心,___ 花了一点多钱。
9. 我 ___ 想出去走走,不想做别的事情。
10. 他 ___ 喜欢看书,对运动不感兴趣。
模範解答
1.
我只是吃了一点点,不是很多。
---私はただ少し食べただけで、多くはありません。
※ 軽い補足として「ただ少し食べただけ」を強調するため「只是」が適切です。
2.
只有努力,才能取得好成绩。
---努力することでしか良い成績は取れません。
※ 条件を示すため、「只有」が適切です。
3.
这件事只是一个小误会,不用担心。
---これはただの小さな誤解です、心配しないでください。
※ 弁解や補足説明のため、「只是」が適切です。
4.
他只会说英语,不会说法语。
---彼は英語しか話せず、フランス語は話せません。
※ 言語の能力を限定するため、「只」が適切です。
5.
只有认真学习,你才有机会考上大学。
---真剣に勉強することで、大学に合格するチャンスがあります。
※ 条件を表すため、「只有」が適切です。
6.
我只想帮你,并没有别的意思。
---私はただあなたを助けたいだけで、他意はありません。
※ 「ただ~だけ」を強調するため、「只」が適切です。
7.
只有准时到达,你才不会错过会议。
---時間通りに到着することで、会議を逃さないでしょう。
※ 条件を表すため、「只有」が適切です。
8.
这次旅行很开心,只是花了一点多钱。
---今回の旅行は楽しかったですが、少しお金がかかりました。
※ 軽い補足として「少しお金がかかっただけ」を表すため、「只是」が適切です。
9.
我只想出去走走,不想做别的事情。
---私はただ散歩に出かけたいだけで、他のことをしたくありません。
※ 「ただ~したい」を強調するため、「只」が適切です。
10.
他只喜欢看书,对运动不感兴趣。
---彼は読書だけが好きで、スポーツには興味がありません。
※ 好きなことを限定するため、「只」が適切です。
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